スタンフォードの自分を変える教室 読んでみた

この本は随分前に読了していたのだけど、先日改めて読み返してみると色々と発見があって大変刺激があったので、改めてメモを残しておきたい。 

端的に言うとこの本では、心理学、神経科学、医学分野における過去の様々な研究結果を用いて「どうやって人は目標を達成するための意思力を維持、または高めることが出来るか」について論じている。 

「どうやったら目標達成できるか?」という事を個人的な経験や主観を用いて書いている自己啓発本は数多ありますが、この本がそれらの本と一線を画すのは全て一定の「科学的」な検証プロセスを経て得られた知見をベースにして方法論を論じているところだと思う。 

「科学的なアプローチ」がベースになっているので、基本的に書かれている内容に納得感が醸成されるし、再現性への信頼感も高いと感じさせるので、読んでみても損は無いかなぁと思います。

 

スタンフォードの自分を変える教室

スタンフォードの自分を変える教室

 

 【特に取り入れたい、意識していきたいポイント】

  • 毎日瞑想をする。
  • 短くても良いのでエクササイズを行う。(一日に5分、単純なものでOK)
  • 呼吸の回数を少なくし、一回あたりの呼吸時間を長くする。
  • 中長期的な目標を1日1回意識する
  • 今の自分ができないことは、きっと未来の自分もできないと考える
    (脳は未来の自分に対してすごく楽観的に考えてしまう)
  • 強い決意より具体的な行動を取る事が大事。同時にその行動の妨げになりそうな事をシミュレーションする(脳は「変化する決意」をしただけでまるで変化したが如く満足感を得てしまう)
  • 意思力に関する失敗(誘惑に負けてしまう)をした時には、罪悪感を覚えたり自己批判してはいけない。(自己批判した方が失敗を再発させやすい)
  • 中長期的目標に反する行為をしたくなったときは10分待ってからする。
  • 将来の自分の姿を具体的にイメージする。
  • 欲求は頭ごなしに否定するのでは無く、まずその存在を受け入れる。その上で目標を思い出して欲求に従わないようにする。
    (単に否定したり、行為を禁止したほうが強いリバウンド効果がでてしまう)

 

本書にも書かれているけど、人の脳は「考えただけで満足してしまう」性質を持っている。これは本当に自分の実体験からみても「まったくその通り」と思わざるを得ない。

ベストセラーによく自己啓発本が上位に来ているけど、きっとこれは多くの消費者が読書体験だけで「何か自分が変わったような気になれる」からなんだと思う。自分的には、この「考えただけで満足してしまう」脳の性質が一番の敵だなーと感じる。

何かを変えるきっかけは大切なものだと思うけど、凹んでは読んで、凹んでは読んでみたいなことを繰り返す人は多いと思う。本書にあるように、実現したいことにとにかく注意を向けること、そしてその行動を積み重ねることでしか自己コントロールを強化していくことは出来ないように感じた。

 

最後にちょっと長めに引用

自己コントロールとは自分自身の様々な一面を理解出来るようになる事であり、全く違う人間に生まれ変わることではありません。自己コントロールの探求においては、私たちが自分に向かって振りかざすお決まりの武器-罪悪感、ストレス、恥の意識-はなんの役にも立ちません。しっかりと自分をコントロール出来る人は、自分と戦ったりしません。自分の中でせめぎ合う様々な自己の存在を受け入れ、うまくを折り合いを付けているのです。

 

自己コントロールを強化するための秘訣があるとすれば、科学が示しているのはただひとつ、注意を向けることです。

すなわち行動を選択すべき時はそれをしっかりと意識して、ただ漫然と惰性に従って行動しないように注意すること。

言い訳をして物事を先延ばしにしたり、よいことをしたのをいいことに自分を甘やかそうとしていることに気づくこと。

報酬の予感は必ずしも報酬をもたらすとは限らない、そして将来の自分はスーパーヒーローでもなければ赤の他人でもないと認識すること。

身の回りのどんなものが-販売戦略からソーシャルプルーフまで-自分の行動に影響を与えているかを見極めること。

いっそ分別など捨てて誘惑に負けてしまいたいようなときに、ぐっと踏みとどまって自分の中の欲求を静かに見つけること。

そして自分が本当に望んでいることを忘れず、どうすれば心から嬉しく思えるかをわきまえていることでもあります。

このような自己認識は、自分が困難なことや最も大事なことを行うときに、常に力を貸してくれます。それこそ、意思力とは何たるかを最も良く表しているでしょう。